俺と同じような年恰好のお客様が独りで飲みに来る事がよくある。リュックを背負い、頭にバンダナを巻いたあるお客様が来店し、少し酔いが廻ってきたのか自分の旅について語り始めた。
女房が亡くなり子供も家から離れて、ある時ふと旅にでも出てみようかと思った。そんな事がきっかけであちこちさすらうように歩いているのだという。
目的もあてもないさすらいの様な旅なのだろう。もうすでに酒を飲んではいけない体になってしまったのに、酒なしでは生きてゆけないとさびしそうに話していた。
俺の友達にも最近奥さんをなくした。、青春時代、彼女も共にあちこち旅行に行ってただけに訃報に戸惑いをかくせなかった
当時(1980年代)アメリカのフォークシンガーにアローガスリーという人がいた。あの「風に吹かれて」を歌ったウディガスリーの息子だ。
彼は妻を亡くし、家族もなくし拠るすべもない男のあてのない旅人の人生を情感たっぷりに、旅人の子守唄という曲で歌い上げている。この前突然FM放送から流れてきてなつかしさに涙が出てきた。
・・歩いてゆくよ、思うままに、子守唄なら星が歌うよ
たしかこんな日本語の訳詩があったような気がする。
今年のお盆、青春時代をすごした友人が20数年振りに訪ねてきてくれた。親父が高齢になり独り暮らしが出来なくなり、都会の病院に引き取りに来たのだという。
高校時代から頭がすごくよかった彼は、SONYに就職し
SONEの一番良い時代を人生の中で過ごした。彼と近くのショットバーで飲んでいろいろな事を話した。何よりも会えないと思っていただけに嬉しかった。
九州に永住を決めた彼とはもう会えないかもしれない・・
語尽山雲海月情
写真:常陸の殿、平塚様